ウイスキーの庭

主にオールドボトルの紹介をするウイスキーブログです。基本的にテイスティング記事はありませんが、ほぼ毎日ウイスキーを飲んではいます。

グランツ(GRANT'S) 1950年代流通 丸瓶 前期JAPANTAXシール

こんばんは。今回は1950年代前半ボトリングのグランツです。

 

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おなじみの三角ボトルに変わる前の丸瓶ですね。

Glenfiddich Millennium Vintage - Whisky News

↑では、1957年に”Hans Schleger”というデザイナーによってデザインされた、との見方が通説となっているようです。

グレンフィディックシングルモルトとして販売し、大ブームを巻き起こしたのも、

こちらのウィリアムグラント&サンズです。

(ストレートモルトとして、1963年に発売されたそうです。)

 

ということは、今回のボトルは1957年以前にボトリングされたという事が分かります。

次の写真を見てみましょう。

 

 

 

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 裏面には例のごとく、「STAND FAST」の文字が。

こんな時代からスタンドファストという言葉を使ってたんですね。

スローガンでスタンドファスト・クライゲラキ云々というのがあるようです。

 

古いボトルの紙質は独特ですね。スコッチのオールドボトルは共通したザラザラ感が感じられます。

 

そしてスクリューキャップのアップ。 

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 この通関シールが白眉です。 

 

4. 戦後の酒と酒税|租税史料特別展示|税務大学校|国税庁

 ↑の国税庁のページでは、昭和28年(1953) 3月1日~昭和31年(1956) 4月1日

の3年1か月の期間使用されていた前期JAPANTAXシールと思われます。

(作ったり売っちゃった分は使い続けても大丈夫だったようですが)

 

ということで、このボトルが日本に入ってきたのは、1953年~1956年の間と想定されます。

あくまで、税関を通ったのが、上記の期間であってボトリングはもっと前かもしれませんね。

 

GRANT'S BLENDED SCOTCH WHISKY 8YO 4/5CL 86 PROOF% SRPING CAP BOTTLE FROM THE 40'S-50'S FROM GLENFIDDICH -BALVENIE - Products - Whisky Antique, Whisky & Spirits

 

上記のウイスキーアンティークのサイトでほぼ同じと思われるボトルが確認出来ました。8年熟成のようですね。

正面真ん中に「blended」表記があるタイプなので、今回の表記なしボトルの方が少し古いかもしれません。

グレンフィディックを”本格的”に売り出したのが、1963年であって、それ以前から販売はしていたはずです。※実際に丸瓶のグレンフィディックの写真は容易に検索できます。

シングルモルトを出すにあたって、違いを出そうと「blended」の表記を足した、と考えるのが自然なため、今回の表記なしボトルは1950年代初期、あるいは1940年代にボトリングされていたと考えることもできます)

 

とまぁ、いろいろ推測の域を出ませんが、とても古いボトルなのは間違いないです。

 

以前記事にした、60年代流通のグランツよりだいぶ前のボトルになりますね。

 

amber-garden.hatenablog.com

 

 

 

スコッチウイスキーの歴史を考察するのは楽しいですね。

素晴らしい資料に出会えて感謝しています。

 

もし、飲む機会があったら感想をきかせてください。